号外
号外 8/1
①『巨大太陽フレアを高精度予測 名古屋大などが技術開発(.7.31 ライフ科学)』
太陽の表面で起きる爆発現象である「フレア」の大規模な発生を高精度に予測する技術を名古屋大などが開発、
米科学誌サイエンスに31日、論文が掲載された。
巨大フレアは通信障害などを起こして社会生活に大きな影響を及ぼす恐れがあり、正確な予測は被害の軽減に役立ちそうだ。
フレアは太陽の黒点の周辺の磁場に蓄積された膨大なエネルギーが一気に放出される現象。巨大フレアは発生頻度は低いが、強い放射線などが地球に届く。
この影響で北米での大規模な停電や、GPSの誤差増大が起きた例がある。
国際宇宙ステーション(ISS)や将来の月面探査で飛行士の被曝(ひばく)も懸念される。
これまでは黒点の大きさや形状から経験的に発生を予測してきたが、的中率は5割に満たず、予測精度の向上が求められていた。
研究チームは、磁場が不安定になるとフレアが発生するメカを突き止め、発生の場所や規模を予測する計算モデルを開発。NASAの観測衛星のデータを使って検証したところ、過去約10年間に発生した9つの巨大フレアのうち、7つを正確に予測できた。
1日から数時間前までに予測することが可能で、チームの草野完也名古屋大教授は「宇宙飛行士の退避や電力網の制御などの対策を取る時間ができる」と話す。
発生情報を知らせる「宇宙天気予報」を提供している情報通信研究機構と協力し、1~2年後の実用化を目指す。
②『1903年の太陽最小スーパーストーム(7月29日 / トニー・フィリップス博士)』
ソーラーミニマムに騙されるな。太陽は11年の太陽周期の静かな段階でも大爆発を起こす可能性がある。
これは、天体物理学ジャーナルレターの7月1日版に掲載された新研究の成果である。
「1903年10月下旬、近代史上最も強い太陽嵐の一つが地球を襲った」と、研究の主著者である林川久史(大阪大学)とパウロ・リベイロ(ポルトガル・コインブラ大学)は言う。
巨大フレア発生のタイミングは、弱い太陽周期の直後にソーラーミニマムと平行して発生する可能性がある。
注)
1903年はサイクル13とサイクル14の谷間の年である。
早川教授達は、フレアで何が起こったのかに興味を持った。
世界中の磁気観測所では、紙チャートレコーダーの振り切れ騒動が起こったのある。
それはスーパーストーム(巨大フレア)が原因だった。
そこで、研究者達は歴史的な記録を探し始めた。
そして、全体の読取り値が現存しているポルトガル、インド、メキシコ、中国の4つの磁気観測所を発見。これらのデータを使用してフレアの規模を計算した。
「大きかったです」と早川教授。
「1903年の嵐は、ケベック州をブラックアウトした1989年3月の巨大嵐の直ぐ後の1850年以来、既知の地磁気嵐のリストの6位にランクされた。
この論文では、何が起こったのかが詳述されている。
1903年10月の最後の週に大きな新サイクルの黒点が現れた。
そして、10月30日の太陽フレアが地球を直撃していた。
フレアを観測する衛星がなかった為、今のスケールでランク付けすることはできない。
しかし、それは非常に強かったのには間違いない。
爆発の数分後、地球磁場は、直撃され放射線等が地球上層大気に強い電流を流す原因となった(磁気嵐)。
この影響は、CME(コロナ質量放出)が到着した27時間後に始まった。
巨大プラズマ雲が地球の磁場に激突し、ペンレコ-ダーダが振り切れた。
地電流の急増は、世界中の無線通信・有線通信を混乱させた。
シカゴでは、シカゴ・サンデー・トリビューンの見出しによると有線通信(電話回線)の電圧は675ボルトに急上昇、「それは人間を感電死させるのに十分」だった。
ロンドンの電信事業者は、ラテンアメリカ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、アルジェリア方面にメッセージの送信が不可能であることが分かった。
それはどのくらいの大きさだったのか?
宇宙気象研究者は、古い磁気グラフの記録から推定できる地磁気活動の尺度である「Dst」を使用してフレアをランク付けした。
注)Dst赤道環電流
磁気圏の捕捉粒子は常に存在するので,地磁気が静穏な場合でも,数十nTの南向き磁場が環電流効果として残っている。
環電流の効果を量的に表す指数として,緯度30゜付近での地磁気観測を基にして作成されたDst指数(単位nT)が世界的に用いられている。
1903年のフレアは早川教授グループによるとはDst=-531 nTに達したていたことを発見した。
比較の為に、1859年のキャリントン現象と1921年5月のグレート・レイルロード・ストームは、どちらもDst = -900 nTの強さだった。
間違いなく、これは史上最大値だったが1903年の大爆発はこれに近かった。
1903年は、強い嵐が太陽の最小値を中断した唯一の時間ではない。
「1986年2月(ガルシアとドライヤー、1987年)の太陽活動最低期で同様の強いフレアが発生していた。
Dst=-307 nT)及び1998年9月(Daglisら、2007年;Dst~-200 nT)」だったと早川教授は指摘する。
2020年ソーラーミニマムが繰り広げられる中、太陽は1世紀級の太陽の最小値を経験し、おそらく出現し始めたばかりだ。
今、新周期の黒点(AR2767)が地球に直面しているが再来の可能性があるのだろうか?
③『参考』
フレアは、太陽表面の黒点付近に蓄えられたエネルギーが一気に解放されて爆発する現象。
放出される放射線や高エネルギー粒子は水素爆弾1億個分に匹敵することもあり1989年にカナダで大規模な停電を起こしたほか、2000年には日本の天文衛星「あすか」を制御不能に陥れた。
旧号に書いたが「X級50以上」、「-900 nT級(マイナス900ナノテスラ級)」が、もしかして発生するとパソコン、スマホの大半は破壊されて使用不能になる。
しかし、電磁シールド、静電シールド、磁気シールド、放射線シールド等が完璧なら破壊は免れるだろう。
この方法は旧号に詳しい。
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